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「事業開発」という言葉だけを聞けば、何やら格好いいイメージかも知れませんが、現実は泥臭く、困難なことの連続ばかりです。事業開発の手法や成功事例にもアクセスしやすくなった昨今、『どんな事業をするのか?』というWhatよりも『どう事業をするのか?』といった、Howの部分にこだわる機会が多くなった気がします。とはいえ、Howの流行り廃りに流され、目的を見失い、『フレームワークって、使えないじゃないか!』といった、手段の善し悪しばかりがメディアで論争されているようにも感じます。
今回はいろいろなフレームワークのうち、経営資源の把握によく使われるVRIO分析を取り上げて、各項目を解説します。
VRIO分析の前に、そもそもフレームワークとは何なのか、定義から紹介します。フレームワークとは、以下の3つのセットで、対象内の問題解決や意思決定をしやすくするためのテンプレートのことです。
これら3つの関係は、まず、対象内の問題解決をするために、正しいと思う理論(belief)を規定します。そこに齟齬が生れないように言語で定義(idea)し、再現性のある手順(rules)に落とし込んでいく。その枠組みが、フレームワークであると言い換えることもできます。
フレームワークは、あくまでも手段なので、必ずしも使う必要はありません。それでも使う動機には、情報を整理しやすいとか、再現性や可視化、コミュニケーションなど、いろいろあるかと思います。ただ、整理目的のためにフレームワークの項目を埋めて、何となくできた感だけを味わって終えるような使い方では、フレームワーク本来のメリットを活かし切れません。
事業開発のためのフレームワーク活用は、単なる情報整理ではなく、アイデアを頭の外に出して全体像を俯瞰することです。他者とディスカッションするための叩き台という意味合いが、最もしっくりくるのではと考えています。そのため、目的達成のためにフレームワークが持つbeliefs、ideas、rulesという、3つの手段の本質を捉えて活用することが重要です。
VRIO分析は、組織の資源と能力を評価し、競争優位を生み出す可能性がある要素を特定するために使用されるフレームワークです。このモデルは、バリュー(Value)、希少性(Rarity)、模倣不可(Imitability)、組織(Organization)の4つの要素に焦点を当てています。各要素は、企業が持つ資源や能力がどのようにして持続可能な競争優位に寄与するかを評価するために使用されます。以下、各要素について詳しく見ていきましょう。
VRIO分析を通じて、企業は自らの競争優位を構築または強化するためにどの資源や能力に焦点を当てるべきかを理解し、戦略的意思決定を行うための洞察を得ることができます。VRIO分析をする際の、質問例と共に分析の仕方を見ていきましょう。
VRIO分析の結果は下の表のように解釈することができます。
資源が全ての質問で強い場合 | 持続可能な競争優位 |
価値と希少性はあるが、模倣可能か組織化が不足している場合 | 一時的な競争優位 |
価値があるが希少性がない、または模倣が容易な場合 | 競争優位なし |
VRIO分析は、企業が自身の競争優位を理解し、戦略的に活用するための強力なツールです。この分析を通じて、企業は持続可能な競争優位を構築し、市場での成功を確実なものにするための戦略を策定することができます。
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