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本企画では、bridgeメンバーが持つ専門性やルーツを掘り下げるとともに、現在進行中のプロジェクトや未来のビジョンを紹介します。
第8回はUI/UXデザイナーの藤井正雄です。大手企業からスタートアップ、フリーランスの経験を経て、2022年には自身が経営するデザイン会社を立ち上げました。そんな藤井が、bridgeへ参画した背景や動機、クライアントに提供できる価値について聞きました。
藤井 正雄 UI/UXデザイナー
新卒でセイコーエプソンに入社し、家電製品のプロダクトデザイン、UIデザインを経験。その後、General Assemblyにてサービスデザインを学び、2017年に米国ポートランド発のデザインコンサルティングファームZibaに転じ、大企業の新規事業を中心にビジネスモデル立案からUXデザイン、デジタルサービスのUIデザイン支援に従事。三井物産発新規事業インキュベーションMoon Creative Labのデザインディレクターを経て、2022年に、日本発の新しいサービスのサービスデザインを企画・支援する株式会社ニューマルジャパンを創業。
──藤井さんのこれまでの経歴を教えてください。
デザイナーとしてのキャリアは、2010年に入社したセイコーエプソン株式会社から始まりました。当時担当していたのは、プリンターやプロジェクターなどの、インダストリアルデザインやUIデザインです。
約7年間勤めたあと、ポートランド発のデザインファーム Ziba Designへ転職し、リードUI/UXデザイナーを務めました。その時に日本のナショナルクライアントとの仕事を経験させていただきました。その後、4年ほどフリーランスの期間を経て、株式会社ニューマルジャパンの設立へと至ります。
フリーランスの期間には、三井物産グループのベンチャースタジオ「Moon Creative Lab」や料理レシピサービスを展開するITベンチャーにジョインするなど、新規事業の立ち上げに関するプロジェクトも多数経験しています。
──ニューマルジャパンでは、どのような事業を展開しているのでしょうか?
「日本発の新しいサービスを、企画・支援するデザイン会社」というコンセプトを掲げています。クライアント企業に対して、新規事業やサービスの立ち上げの支援をしていますが、自社でも、お茶やデイリーウェアのサブスクを展開しています。
スタートアップの初期は、デザイン以外のさまざまな苦労を経験すると思います。私としては、新規事業に取り組む際の「リアル」を肌で感じたいという想いがあり、自社サービスの立ち上げに至りました。
サービスを広げる目的で自社で広告配信もしていますが、そこで経験したことをノウハウとして構築しクライアントワークに活かせているため、相乗効果を実感しています。
──藤井さんがbridgeに参画した理由を教えてください。
bridge代表の大長さんとは、Ziba Designに所属していた頃、あるナショナルクライアントの案件でご一緒させていただいたことがあります。以来、何度か仕事を一緒にしている旧知の仲なんです。そうした背景がある中で今回、bridgeがUI/UXデザイナーを募集するということで、声をかけていただきました。
──ジョインの決め手は何でしたか?
日本のトラディショナルな企業が新規事業開発にチャレンジする際に、bridgeをとても頼りにしている印象があったんですね。私(ニューマルジャパン)も、日本の優れた文化や技術を活かしたビジネスをされている企業のお役に立ちたいという想いがあったので、価値観の部分でとても親和性があると感じました。
また、bridgeは「多様な専門性を持つプロフェッショナル」が集まる組織です。その働き方や関わり方、枠組みにも興味があったことも決め手になりました。私の専門分野である「UI/UXデザイン」が貢献できると思えた点も大きかったですね。
──「UI/UXデザイナー」とはどのような役割なのですか?
古い考えかもしれませんが、デザイナーは事業を可視化したり、プロジェクトを可視化する役割があるのかなと思っています。
bridgeとの取り組みでは、新規事業支援サービス「Hop On Design」のリリースにあたり、パートナーシップを締結することとなりました。事業立ち上げ期の各フェーズで求められるデザインワークを横断しながら、サービスの価値と価値観、世界観を正しく可視化して検証できるように伴走するサービスになります。
特に、Solution Fit Phase(0→1のソリューション検証段階)で必要とされるコンセプト・UI/UX・ブランディングなど、あらゆるデザインをワンストップでトータルでサポートしていく予定です。
──Hop On Designをリリースした背景は何ですか?
事業の立ち上げ期は正攻法がなく、最低限のやり方やノウハウはあったとしても、実際にはPMF(プロダクトマーケットフィット)に導くために、個別の努力、個別の工夫をしていかなければいけないのが現状だと思っています。
この時に、事業が提供するソリューションが市場から求められているかどうかを検証するフェーズがあると思いますが、多くの場合にバイアスがかかり、事業自体が「求められている前提」で進めてしまっているように感じています。
例えば、プロトタイプ(試作品)の広告を打ってみたものの結果が思わしくなかった場合に、「事業には価値があるはずだけど、伝わるデザインになっていなかったからユーザーを獲得できなかった」という思考に陥ってしまうかもしれません。
しかし、初めから伝わるデザインを意識しながら検証フェーズに入り、広告を打つことができていればどうでしょうか。「広告の反応がないということは、事業の価値や競合と比較した場合の見え方を検証する必要がある」と、冷静で客観的な判断ができると思うんです。
──Hop On Designを提供する上で、藤井さんの強みは何でしょうか?
「新規事業 × デザイン」の文脈において色々な経験を積んできたこと、プロダクトの体験やブランディングのケアも含めて、幅広く柔軟に対応できることが強みだと考えています。
理念としても、目立つデザインやバズるデザインをつくるのではなく、事業検証をする段階の「価値が伝わるデザイン」を常に心掛けていますし、UI/UXやブランディングを武器に、クライアントと近い距離で伴走をすることも大切にしています。
そういった点もbridgeとの相性がいいのかなと感じているので、今後のコラボ事業でも意識していきたいところですね。
──最後に、bridgeに参画する上での展望を教えてください。
まずはHop On Designを成功させたいと思っています。新規事業を成功に導くためには、優れたビジネスモデルと優れたユーザーエクスペリエンス(UX)の確立が極めて重要です。
今回、bridgeとの提携によって生まれたHop On Designは、ビジネスとUX両方の構築をワンストップで支援ができるサービスをつくることができました。
フェーズや悩みごとにとらわれず、誰でも新しいビジネスやプロダクトのデザインを手軽にスタートできる「デザイン支援プラットフォーム」だと考えていますので、一社でも多くの新規事業に貢献できるよう取り組んでいきたいと思います。
取材協力:株式会社ソレナ