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bridgeの事業開発支援では、機会探索から事業化までを幅広く支援しています。事例はホームページの「CASE STUDY」で公開していますので、ぜひご覧ください。
今回は新規事業開発の中でも後半のフェーズ、PoC設計・実行とマーケットフィットに焦点を当て、その支援内容を掘り下げていきます。インタビューに応えるのは、homeal株式会社を創業し、フードスタートアップの起業家としても活躍する、bridgeのビジネスデザイナー 鬼海 翔です。
大手企業では、まだまだ新規事業開発のノウハウを持つ人材が不足しているほか、縦割り組織の中で社内の協力を得ることの難しさも課題になっています。
それらを織り込み済みの上で、どのような伴走支援を進めているのか。ビジネスデザインをする際の考え方を聞きました。
──まずは、bridgeの事業開発の特徴から教えてください。
多様な専門性を持つ人材がbridgeには揃っているため、それぞれの個性や強みを活かしながら、お客様に合ったやり方で支援できることが最大の特徴です。
私たちは事業開発自体をまるっと請け負うことはなく、あくまでお客様である企業の「プロジェクトメンバー」が主人公というスタンスです。そこに対して事業開発を前進させるために必要なディレクションを行っています。
──PoC設計以降のフェーズでは、どのような事業開発支援をしているのでしょうか?
企業によって新規事業開発の現在地が異なりますので、それによってアプローチは変えています。その際に大枠で、3つの視点でカテゴライズして分析をします。
1つは「プロダクト」です。PoC設計の段階では、すでに社内事業コンテストなどを通過したアイデアがあり、β版をローンチする前の検証に入っていることが多いと思います。その時にプロダクトとしての水準をどの程度満たしているかを精査します。
2つめは「グロース」の視点です。目標と数字をもって、どのように事業を成長させていくのか。さまざまな指標を用いて現状を把握をし、然るべきアクションを促します。
3つめは「チームビルディング」です。これはグロースの際に、必要な人的リソースが足りていなかったり、チーム内がギクシャクしているなど組織面の課題がある場合に支援しています。
──3つのカテゴリについて、まずはプロダクトから詳しく教えてもらえますか?
新規事業開発では、β版のサービスやプロダクトを「プロトタイプ」と表現します。まずはこの試作品作りが最初のフェーズで、ここから徐々に品質レベルを高めていきます。
わかりやすく説明するため、ここではレンタルサービスをローンチする計画だとしましょう。最初に必要なのは、レンタルする「モノ」自体の完成度を高めることです。お客様が購入した際に満足できるのか、リピートしようと思えるかどうかが問われます。
この時点でサービスサイトが必要になるケースもありますが、まだ時間もお金もかける必要はありません。ECプラットフォームなどを活用し、1時間程度の準備でまずはレンタルサービスを開始することが大切です。
プロトタイピングに関する知識が十分になければ、エンジニアに見積り依頼をしてサイト構築費に多額な費用をかけてしまいかねません。ここで大切なことは素早く始めることなのです。
これをレベル1とすると、レベル2で求められるのは「サービスの利用体験」です。サイトの見栄えが良く、操作性も十分であること。何よりも訪問者からの新規購入があるかどうかが大切です。そこまでプロダクトの定義を広げて考えます。
レベル3では、プレスリリースを公開した時に、新規のお客様が次々とレンタルサービスを利用してくれる状態を目指します。そのためプロダクトの品質や機能よりも、デザイン性やブランディング、マーケティングの要素がここでは重要になります。
今回は大きく3つのレベルで説明しましたが、実際は100段階近くの細かな満たすべき水準があります。bridgeのビジネスデザイナーはそれらの進捗を確認しながら、案件ごとに適切なディレクションを進めていきます。
──グロースの支援については、どのように説明できるでしょうか?
グロースも同じく、3段階で整理すると理解しやすいと思います。最初の段階が、世の中のニーズや課題が「ある程度の規模で存在する」ことを確認できている状態です。通常これはPoC設計の段階までで大体完了していることが多いと思います。
第2段階が「成長期」と呼ばれるフェーズで、簡単に言えば、1万円の広告予算をかけるとそれが3万円、5万円の売上として返ってくる状態です。わかりやすくレバレッジの効いた成長ドライバーを見つけ、実現できている段階とも表現できます。
第3段階が「高収益化」のフェーズです。これまで赤字だった事業が黒字化し、新規事業としても一定の成果を生み出せる状況と考えて良いと思います。
グロース支援では以上のステップを達成できるようなシナリオを描き、具体的なアクションに落とし込んでいきます。
重要なポイントはプロジェクトメンバーが「理想屋」となり、私たちbridgeが「課題屋」「解決屋」として、正しい課題設定をし解決に導くためのお手伝いをしている点です。
その際に、KGIの立て方でディレクションが必要になるかもしれませんし、今配分しているリソースの投下先を見直す必要があるかもしれない。時には「今のプロダクトでグロースを目指して良いのか?」という議論が出てくるかもしれません。
いずれにしても、社内のメンバーからは見えない外からの視点を、bridgeが専門家の知見を交えながらディレクションすることに価値があると私たちは考えます。
──事業開発支援の3つめの視点が「チームビルディング」です。こちらはどういった内容になるのでしょうか?
チームビルディングは、必要に応じて実施するケース・しないケースがあります。
具体的には、グロースに必要な専門性(人的リソース)がチームに足りない場合と、目標に向かう中でチーム内がギクシャクするなど、組織的課題が生じた場合にチームビルディングをします。
前者の場合は対応もシンプルで、もし大学生のインターンを1名入れれば事業が加速するならば、インターン生の紹介サイトを運用できるようディレクションをします。UXデザインが必要なタイミングならば、UXデザイナー採用の支援をすることになります。
後者の場合は、そもそもの目標に立ち返るためのワークショップを開くことで、メンバーの意識を統一することもあれば、社内に目を向けすぎないためのマインドセットをすることもあります。
特に大手企業の新規事業開発プロジェクトであれば、経営陣からのGOが下りないこともあれば、社内からの応援がもらえないケースも珍しくありません。
とはいえ、社内的な事情があろうとなかろうと、世の中では日々スタートアップ企業が誕生し、新たなサービスも次々にローンチされているわけで、立ち止まっているヒマはありません。
上記の図は、大手企業とスタートアップ企業のリソースの差を表しています。一見すると、スタートアップの円は非常に小さいものですが、大手企業の新規事業開発チームの円はさらに小さいのです。
しかし、うまく他部門の力を借りることができれば、大手企業のプロジェクトは大きな躍進を遂げることができます。大手ならではの戦い方とは何か。
bridgeではミズノを始めとした、数々の組織変革の伴走支援を続けてきました。そこで得られた組織づくりの知見をチームビルディングにも反映し、ディレクションへつなげます。
bridgeの事業開発では、ステージ・ゲートプロセスによる事業開発支援やタイムボックスと呼ばれる手法など、プロジェクトチームに応じたさまざまな手法を使い、ビジネスデザインを進めていきます。
チームが目標に向かえるようエンパワーメントし、社内政治などの組織課題も一緒にクリアできるようディレクションをする。
これらを可能とするのも、さまざまな分野のエキスパートと実務家で構成されたギルド型チームだからこそ。多様な視点からソリューションを描き、実行にむけて協働することで既存の枠組みを超えてチームの挑戦を支援します。
取材協力:株式会社ソレナ