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【セミナーレポート】新規事業で成功する全員参加型組織のつくりかた

【セミナーレポート】新規事業で成功する全員参加型組織のつくりかた

bridgeは、株式会社システムインテグレータと共催で、オンラインセミナー「新規事業で成功する全員参加型組織のつくりかた〜成功企業の特徴とは?現場を巻き込むアイデア発想の仕組みを解説!〜」を実施しました。

昨今、変化の激しい市場の中で継続的に企業を発展させるため、新規事業を立ち上げる事例が増加しています。しかしながら、企業の新規事業開発に携わっている従業員300名を対象にアンケート調査を実施したところ、「成功」を実感しているのはわずか3割。その一方で、成功を実感している企業のうち約75%は、新規事業から主力事業が生まれています。

新規事業の立ち上げが成功する企業とそうでない企業の違いはどこにあるのでしょうか。オンラインセミナーの内容をピックアップしてお伝えします。

本セミナーの動画視聴ご希望は【こちら】

第1部「新規事業開発の「成功を実感できていない企業」は7割~成功を実感している企業の5つの特徴とは~」

株式会社bridge 代表取締役 大長 伸行

新規事業に対する課題

新規事業に取り組みたいが、何からはじめてどう取り組むべきかわからない、または、数年熱心に取り組んでいるが成果につながらず、何が要因なのかがわからないという悩みをよく聞きます。
既存事業での成長が期待できず、全社をあげて新規事業に取り組みたい方、外部のコンサルタントやコンテンツに頼らず、事業開発活動を自走する組織になりたい方は、まずは自社の組織の状態を把握しましょう。

◉新規事業が先に進まない要因
・何度もトライ&エラーを繰り返さなければならないが、それを応援する組織の仕組みがない
・一過性の取り組みになって成果に繋がらない
・不確実なものが多すぎる、あるいは見通しが悪すぎるがゆえに、どうしても得意な既存分野に社内のリソースや権限をフォーカスしてしまう
・一見、全社的に応援しているように見えていても、始まっていくと一部のチームの人だけが孤軍奮闘している状態に

◉新規事業の能力が備わらない歴史的背景

日本を代表する企業は戦前戦後に生まれていることが多く、その頃は全社員がイノベーターでした。2010年以降、イノベーターがだんだんと社内からいなくなり、その後2020年代になり、改めて全社員が新規事業に取り組む段階に。現在は、個人のレベルも起業家マインドに変化してきました。

新規事業の阻害要因とは?

新規事業に対する阻害要因は複雑に絡み合っています。
bridgeは、2022年8月、新規事業開発を実施している企業の従業員300名に対してアンケートを実施し、どこに問題意識を持っているのかを調査しました。
参考:https://www.bridgedesigners.com/topics/5546/

◉新規事業を生む組織の構造
すべての新規事業における問題は、5つのカテゴリーのどれかに当てはまります。

①定義
・新規事業はどの領域ではじめるか 
・自社のイノベーションの領域とは何か

②目標・指標
・自社の新規事業やイノベーション活動をどのように計っていくか
・目標が決まらないと手段が決まらない、活動量が決まらない

③プロセス・メソッド
・サポートツール類を取り入れるカルチャー、仕組み、進め方がどの程度あるのか
・時間内で素早く検証と学習を推進するプロセス

④仕組み・体制
・社内で提案制度を持ち、問題発見への感度を高めて社員から提案する仕組みをつくる 
・0から1にアイデアを集めた後、1から10に育成するため組織を持っている
・アイデアを集める、応援できる、フィードバックできる、など、社内のカルチャーを育てる仕組み

⑤モチベーション・カルチャー
・どうやって意図的に活動を社内で盛り上げていくか
・役員の言動、振る舞いがモチベーション・カルチャーに直結する

さらに、この5つのカテゴリーを細分化すると、25の要素に。「新規事業を生む組織の25要素」の項目に沿ってアンケートを実施しました。

「成功していると回答した企業」と「そうでない企業」の差は?

調査結果では、新規事業開発の「成功を実感できていない企業」は約7割となりました。「成功を実感できている企業」のうち、将来主力事業になりそうな事業が生まれている企業は35.3%でした。

◉「成功していると回答した企業」の5つの優位差

①自社の新規事業のターゲットとなる「領域」「方針」を示している
・フェアウェイとOBがどこなのか、明示されていて判断の基準になる
・領域を示されてないと新規事業に取り組む社員のモチベーションに関わる
・領域を示されてないところで新規事業を進めると、他部署の理解、協力を得られないことも

②新規事業に関する意思決定が迅速になされている
・進めるかどうか、進めるとなった場合、次の条件を掲示している
・組織、人事、予算の意思決定が早い

③新規事業を推進するための人材要件を定義し、育成する方針がある
・新規事業で求められる人材の定義
・丁寧に実戦形式で社内で研修し、人材育成に力をいれている
・手法論も含め、見える化・言語化し、既存事業と新規事業を区別しながら進めている

④新規事業への取り組みの意義や目的を全社で共有している
・なぜこのタイミングでやるのか
・部門や役割を超えて進める意義を明確に伝えている

⑤新規事業をすすめていくための仮説検証プロセスを構築している
・段階的に投資する仕組みを持っている
・プロセスごとの評価ポイントを明示している

この5つの優位性の中で、新規事業を推進する活動の中でもっとも求められていることは、「新規事業への取り組みの意義や目的を全社で共有すること」です。

インタビューから見えてきたポイント

◉新規事業のマネジメントの関わり方を変える
評価者の立場ではいつまでも事業は生まれません。トップマネジメントは自らの声で本気度を示し、事業の芽を育て、活動を牽引し、リーダーシップを発揮することが大切です。

◉イノベーションの方針、フェアウェイを定める
集中と選択が欠かせない中で、どの領域で事業をつくるのか?投資しないのか?を明示することで、活動のエネルギーを集中させることが重要です。

◉規律あるプロセスの元で、スキルを養う
仮説検証のプロセスを”型”として構築しながら、実行のスキルを組織的に育成し、活動の再現性を高めていく必要があります。

 

第2部「個人の限界を組織の集合知で超える~全員参加型のアイデア創出のすすめ~」

株式会社システムインテグレータ 製品企画室ニュービジネスグループ 横山 弘典氏

1人ではじめて事業にするまで〜「IDEA GARDEN」事業化の事例

◉ボトムアップでアイデアを実現するために
アイデアを出しても社内の理解や協力が得られない、といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。また、そのアイデアを誰かに見せたとき、「で、それは売れるの?」と、いきなり結果を求められたという経験はありませんか。

アイデア出しの段階で本当に欲しいのは、共感・応援のフィードバック。もっとこうするといいかも?こういう情報もあるよ!と、どんどんアイデアを広げていけるのが理想の環境です。

新規事業をはじめるにあたって、このプロセスや仕組み、風土が組織にあるかどうかが不可欠な要素だと実体験からも感じています。

実際に「IDEA GARDEN」を事業化する際に、1人のアイデアからたくさんの人を巻き込んで個人の限界を超えられたという事例をご紹介します。

◉影響の輪をひろげるためのステップ

①発案
・はじめはMIJS(Made In Japan Software & Service) 新製品ワークショップのプロジェクトからスタート
・15個以上の企画を考え、「IDEA GARDEN」の元になる企画を創出

②上司/同僚に見てもらう
・違う部のマーケター、同じ部のマーケター、上司の3名に企画を見てもらいフィードバッグをもらう
・この3名でゆるいバーチャルなチームができる
・それぞれメンバーの特性を生かして議論を重ねる
・マーケティング調査を実施

③社外の人に見てもらう
・プロジェクトのファシリテーターにフィードバックもらいブラッシュアップ
・プロジェクトに参加している他企業からもフィードバッグをもらう
・ランディングページのプロトタイプを作成

④顧客になりそうな社外の人へインタビュー
・3社から意見をもらう
・実際に「20万円以下なら買いたい」というフィードバックをもらい、もっと磨き込めば製品化できるのではないかとチームで確信

⑤社長へ直接見てもらう
・巻き込んで一緒に議論する
・どう売るかまで話し込み、有意義なディスカッションに

⑥経営会議でプレゼン
・ビジョン、ビジネスモデル、収支計画を話す
・半年で検証するように指示をもらう
・3ヶ月でプロトタイプを作り、社内や社外で検証をはじめた

⑦事業化へ


◉周りを巻き込んで、個人の限界を超えた
・個人アイデアの支援者を増やす 
・業務外でも繋がれる、ゆるいバーチャルチームを作ってアイデアを磨く 
・社外の力も借りる(社外の意見、社外イベント、顧客インタビュー)

1人で考えたアイデアを周りを巻き込みながら、どんどん成長させていくことができました。

◉新規事業に必要な3つの要素

生み出したアイデアは、そのアイデアを支える人に育ててもらいながら、全員で育てていく組織が必要です。

全員でアイデアを生み出す文化をつくる「IDEA GARDEN」とは?

◉全員参加型のアイデア創出プラットフォーム

「IDEA GARDEN」が目指しているものは、全員で産み育てる仕組みを提供し、アイデアを創る人、支える人を増やすこと、自社の経営資源を生かしたアイデア創出を実現することです。

◉「IDEA GARDEN」ができること

①かんたんにアイデア創出
・「誰の、どんな状況を」入力するだけでアイデアがつくれる
・AI発想アシスタントがアイデア回答してくれる
・AIアシスタントによるチャット応答も可能に
・AIとディスカッションしながらアイデアを育てていく

②全員で育てる仕組み
・最初のアイデアは1人でも、段階的にアイデアを育てることができる
・いいねやフィードバックをもらうことで、ゆるいバーチャルなチーム作りができる

③発想を楽しむ風土づくり
・部門や役職、年齢を横断して議論すると色々な学びや気づきがある
・アイデアを創る人だけでなく、アイデアを支援する人にもスポットを当てられる

トップダウンでアイデアを実現する

◉経営者と現場とのギャップ
経営者は、自社の経営資源を活用して新しい事業を生み出したいと考え、いいアイデアがあればいつでも持ってきて欲しいと思っています。一方で、社員は、既存事業の業務に集中していて忙しく、モチベーションやインセンティブがないと動きづらいと感じています。新規事業を企画しようにも、このような経営者と現場とのギャップが多く存在します。

◉新規事業の進め方3パターン
①社内から起案者を募る
②誰か選抜して事業を任せる
③経営層がリードする 

新規事業を進める3つの方法の中で、断然スピードが早いのは「③経営層がリードする」パターンです。

◉経営層がリードして現場を巻き込んでいく自社の事例
社長主導で「IDEA GARDEN」を使い、各部門選抜メンバーとともにアイデア出しと議論を実施したところ、取締役が一番アイデアを出して積極的に活動を支援。この熱い議論の結果、新製品の企画が誕生しました!

◉経営層がリードするメリット
・本気度が伝わる
・社内調整がとても楽
・意思決定も迅速

まとめ

組織の中で新規事業をはじめようとしたとき、1人でどんなに頑張っても、たった1人ではそのアイデアの芽は大きくならず、それを新規事業として発展させて成功させることはできません。社員全員を巻き込んで、新しいアイデアを生み出しやすいプラットフォームを作り、そして、そのアイデアをどんどん大きく育てるために、周りの環境、土壌作りがとても大切になります。さらに、その上で経営者の示す道しるべやリーダーシップが欠かせません。

将来有望な事業になり得る小さなアイデアの芽をつぶしてしまわないために、組織が新規事業を生み出すための適した風土になっているのか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

本セミナーの動画視聴ご希望は【こちら】

bridgeと株式会社システムインテグレータは、事業を拡大/成長させたい経営者の方、新規事業開発や経営企画に携わっている方、人事/教育担当者の方を対象に、今後もこのようなセミナーを実施していきます。

 

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