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なぜ「自走できる組織づくり」が必要なのか?一過性のイベントで消費しない、bridgeの新規事業支援

なぜ「自走できる組織づくり」が必要なのか?一過性のイベントで消費しない、bridgeの新規事業支援

bridgeに寄せられる相談の多くは「社内から新規事業を生み出したい」という内容です。

ところが新規事業の創出によって、どんな新規事業を起こしたいのか、それが自社にとってなぜ重要なのかなど、議論が十分に成されていないケースが驚くほど多いのです。

そこで私たちは、社内提案制度やワークショップの開催といった一過性の活動ではなく、「組織変革」「人材育成」「事業開発」の3方向から中長期で取り組むことを軸として支援するようになりました。

定義や目標、プロセス、仕組み、人材育成などの多様な要素を整理し、関係部署のコンセンサスが取りにくいところからオーガナイズする。これにより「自走して新規事業を生み出せる組織」の基盤を作れるような伴走が可能となりました。

今回はその方法論を、具体的な事例を交えながらお伝えしたいと思います。

事業創出活動が「一過性」で終わる原因とは?

bridgeは2017年の創業以来、新規事業創出に関するさまざまな課題と向き合ってきました。その中で特に顕著なのが「一過性のイベントで終わってしまう」という課題です。

社内提案制度にしても、初めはやる気があるメンバーが手を挙げて挑戦し、社内審査を通過することもあります。しかしその後の受け入れ体制や仕組みが整っていなければ、事業化につながることはありません。これを繰り返すうちに社内で手を挙げる人が少なくなり、最後は新規事業創出の取り組み自体がしぼんでしまう。

「一過性」であることには、これだけのデメリットや副作用があるのです。

ではなぜ多くの企業は、打ち手が「一過性」に終わることに課題を感じながらも脱することができずにいるのでしょうか。

要因として考えられるのは、高度経済成長期以前に創業した経営者がすでに引退し、創業の経験やナレッジ、マインドセットが失われてしまった可能性です。

1960年代は全社員がイノベーターのような実態があったにもかかわらず、時の経過と共に管理職の重要度が上がり、2010年代にはリスクの取り方もわからなくなってしまった。

本来は積み上がっていくはずの経験やナレッジが、長い期間を経て失われてしまったのです。新規事業に必要な「0→1」のスキルは不要となり、「1→10」「10→100」の思考法に偏ってしまったのかもしれません。

具体的には、主観や直感を重視してアイデア創出をする「実験思考」が失われ、合理性と客観性、分析によって改善・拡張させていく「戦略思考」がすべてになってしまった。

現に営業や広報、人事など既存の職種は、3年あれば一人前の人材として活躍ができます。先輩や上司といったロールモデルの育成、学習して成長できるような仕組みが整っているからです。

しかし新規事業開発においては、そのような事例はほとんど見かけません。日本企業の多くは仕組みの見直しを迫られ、今もなお試行錯誤中なのが現状なのでしょう。

私たちもこの数年で、似たような課題に直面している企業が多いことに気づきました。

組織を横断して変革する「プロジェクトデザイナー」

ではどうすれば、新規事業の活動が「一過性」に終わらず、経験やナレッジが積み上がっていく組織になれるのでしょうか。着手すべきは、事業開発の手法やツールの採用にこだわるのではなく、組織変革や人材育成に目を向けることだと私たちは考えます。

bridgeもまた、UI/UXのデザイナー/エンジニアなどが単体のプロジェクトを支援するやり方ではなく、CIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)の外部機能とも呼べる、組織を横断して変革する方法を推奨するようになりました。

その際に活躍するのが、プロジェクト・デザイナ―の存在です。

「プロジェクトデザイナー」は、過去の延長線上にない挑戦をリードする存在です。人と人、組織と組織をつなぐハブとしての機能を果たす立場であり、

◉プロジェクトの起点となる「問い」の設定と、プロジェクト全体のデザイン
◉チームの気づきや共感、創造性を高めるための仕掛けとファシリテーション
◉新たなチャレンジを鼓舞し、ビジョン実現のロードマップをつくる

といったことを得意としています。

その上で自社の新規事業開発を阻害しているボトルネックを特定し、社内外の垣根がないイノベーションが生まれる組織づくりをリードします。

ボトルネックにはさまざまな要因がありますが、その多くは複雑に絡み合い、どこか1つの部署で課題を解決すれば良いものではありません。

新規事業の提案活動に参加しても、上司からの応援が得られない、事業アイデアが審査を通ったとしても、ヒト・モノ・カネのリソースを充ててもらえるわけでもない。

こういった現状に対してプロジェクトデザイナーは、経営や事業開発部門、研究や人事など複数の部門を横断し、絡み合った問題の紐をほどいていきます。

3年を経て実り始めたミズノの「自走する組織」

△2020年の段階ではまだ「イラスト」だった施設 MIZUNO ENGINE


プロジェクトデザイナーの活躍について、わかりやすいのがミズノの事例です。

2022年に『MIZUNO ENGINE』と呼ばれるイノベーションセンター(ハード)を設立するに伴い、社内提案制度の企画運営やイノベーション人材の育成、オープンイノベーションに向けた風土改革など、ソフトの部分を総合的に導入することになりました。

bridgeも2018年からミズノの新規事業開発を生み出すべく、中長期の姿勢で支援に携わってきました。

約3年の間に、bridgeが支援した内容は以下の通りです。

◉ミズノのイノベーション組織診断~16のアジェンダ設定
◉16の分科会の組成とPMO(プロジェクトマネジメント機能)支援
◉社内提案制度の運営支援、ステージゲート導入支援
◉ミズノのイノベーション領域の策定(Mizuno Mirai Vision)支援
◉プロジェクトリーダー育成、など

16の分科会が取り組んだのは、「定義・目標」の設定から「人事制度・人材育成」「社内外へ向けた広報活動」など組織全体へ波及する内容でした。

その中でも「Mizuno Mirai Vision」は、ミズノのイノベーション領域を明確に定める役割があり、新規事業のアイデアを打ち出す上で大きく貢献しています。



ミズノのイノベーション活動は、すでにいくつかの商品や共創事例、社員によるスタートアップ企業の設立などの動きが出ています。

新規事業を生み出す組織としての「自走」が始まったと言えるのではないでしょうか。

◉ノンアルコールビール(ビアテイスト炭酸飲料)「PUHAAH(プハー)」の開発
◉白杖(はくじょう)「ミズノケーンST」の商品化・発売
◉ミズノ社員によるスタートアップ企業の設立
◉オープンイノベーションに向けた取り組みがスタート、など

参照:新規事業を創出中!スタートアップと共創開始!

さいごに

新規事業開発の支援は、半年や1年のプログラムで終わることが大半ですが、本来はその後こそが重要です。一過性の取り組みではなく、カルチャーづくり、組織づくりにまで入っていく必要があるとbridgeでは考えます。

この数年で「自走する組織」の重要度はますます高まっているものの、どの企業も新規事業開発に取り組んだ経験やナレッジを蓄積し、次につなげるような組織のあり方を模索しています。

まずは3年。初めは補助輪として外部の力を借りる必要があるかもしれませんが、そこから新規事業を生み出せる仕組みや文化が作られ、実践知が社内に蓄積される組織になることができるとしたらどうでしょう?

bridgeは引き続き、イノベーションを創出する「自走する組織」の作り方を探索し続けます。ご興味のある方はぜひ、お声がけください。

取材協力:株式会社ソレナ

<会社案内のダウンロードはこちら>

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