TOPICS
本企画では、bridgeメンバーが持つ専門性やルーツを掘り下げるとともに、現在進行中のプロジェクトや未来のビジョンを紹介します。第4回はプロジェクトデザイナーの別府麻美をインタビュー。大企業内での新規事業開発を経験し、外部アクセラレーションプログラムでも評価された取り組みの数々。それらがbridgeでどう活かされているのか伺いました。
別府 麻美 プロジェクトデザイナー
ITエンジニアとして10年近く製造向けシステムの設計開発を経験。2014年から大手システムインテグレーターでWEB系システムのプロジェクトマネジメントに従事。現職中にMBAを取得すると、2018年には社内ピッチコンテストへ参加し新規事業としてアイデアが採択された。経産省イノベーター育成プログラム『始動2020』など、外部のアクセラレーションプログラムにも採択。2020年12月bridgeに参画。スポーツがとにかく大好き。
学生時代にIT企業に興味を持ち、将来は経営者として社会貢献しようと目標を掲げてきました。ITエンジニア、WEB系システムのプロジェクトマネジメントを経て、38歳で経営を学ぶためにビジネススクールへ。MBAを取得しました。その後、ビジネスアイデアを社内で形にするため具体的なアクションを起こします。
2018年当時、社内には既存事業以外のアイデアを提案する場所がなかったため「社員の考えたビジネスを世の中に届ける仕組みを作ってほしい」と役員に直接掛け合いました。そのおかげか偶然か、翌年に社内提案制度が生まれました。私はその1期生として社内ピッチコンテストに参加。ヘルスケア領域の新規事業としてアイデアが採択されました。
ところが大変なのはそこからです。1期は16組がエントリーし、4組が通過したのですが、内PoCで予算が付いたのは私のビジネスアイデアを含め3組だけでした。半年間の活動の末、ある組は事業部の承認が下りず、ある事業部は既存事業に吸収されてしまいました。私は最初に半年の予算と期間をいただき、その後もゼロイチ(0→1)を推進する「インキュベーションセンター」への異動し継続できたものの、最後は技術的な実現の難しさから役員の承認を得られず、プロジェクトは終了してしまいます。
でも私はどうしても諦めきれず、説得材料として外部のプログラム活用を考えました。そこでの承認・評価を得られれば、きっと社内も再検討してくれるはずだと信じて。経産省のイノベーター育成プログラム『始動2020』に挑戦し採択されたものの、米国シリコンバレー・プログラムの選抜メンバーには選ばれず悔しい想いを経験します。現在はGOBのアクセラレーションプログラム『START-UP-GATE』へ挑戦中です。
社内でも3期までピッチコンテストが行われており、私は「新規事業創出メンター」として企業内起業家の支援をしています。外部機関の使い方、顧客リサーチの方法、社内手続きなど、伝えたいことはたくさんあります。これまで築いてきたブランドを毀損させない大企業ならではの慎重な部分など、社内だからこそわかることもあるんです。
▲GOBのアクセラレーションプログラムへ挑戦中の別府さん
正式に「一緒にやりませんか?」と打診をいただいたのは2020年の9月頃でした。当時の私は社内のインキュベーションセンターで新規事業に取り組み、アイデアを事業化するための手段として外部委託やコンサルタントの方々の力を借りていました。その中の一社にbridgeがあり、大長さんともそのタイミングで出会いました。
その頃の私は外部のピッチコンテストで選抜に落ちてしまい、今後の方向性に迷いが生まれている時期でした。このまま社内で新規事業を提案し続けるか、外部のプログラムに挑戦するか、はたまた自ら起業をするか。そんな時に大長さんから「大企業の中で経験してきた新規事業立ち上げの苦悩を、うちで活かしてくれないか?」と相談されたんです。
自分のアイデアを事業化する活動とは異なりますが、自分の知見を共有しつつ、他社の事例を学びながら相乗効果を生み出せるのではと考え、ジョインを決意しました。
2020年12月から4ヶ月程、ミズノ株式会社の新規事業プロジェクトに関わっていました。bridgeには複数の専門家が所属していますが、その中から私が選ばれた理由は2つ。
1つは私自身がアスリートの側面を持っており、スポーツによる社会イノベーション創出に取り組むミズノさんのプロジェクト内容と相性が良かったこと。2つめは副業や社内新規事業開発の制度設計・運営に関する「現場の知見」を共有できることがありました。
特に後者はこれまで大企業内の中で行ってきた「新規事業立ち上げのリアルな経験」でもあったので、「なぜ軸がブレないんですか?」と質問されることも増えました。
私自身は「自分が定めた生き方であり1回きりの人生だから」と考えているわけですが、もしかすると私にとっての当たり前の中に「企業内起業家」にとって大切なエッセンスが含まれているのかもしれません。
もしこれまでの失敗談の共有を含め、私の活動をお伝えすることが新規事業創出に向けてのモチベーションになるならばとお話をさせていただいてます。大長さんも新規事業開発には「リーダー本人のやりきる力」が必要だと話しているので、bridgeの考え方にも共通するものがあると考えています。
2021年4月から現職が事業部のR&Dへ異動となりました。以前とは時間の使い方も変わってくるため、今後の在り方を改めて模索しています。
ただ私がbridgeで担う役割は、常に新規事業開発を念頭に置いた働き方をすることで果たせると考えています。頻度高くワークショップに参加することは難しくても、bridge内に集まるナレッジやスキルを共有する裏側のサポートはできる。これまで培ってきたWEB系システムのプロジェクトマネジメントの経験や、上級WEB解析士のスキルも役立つはずです。
これまでと変わらないことは、私の興味領域がゼロイチ(0→1)にあるということ。現職はどちらかといえば1を10にする段階で、実証実験を実事業に広げることが役割となります。その中で、新たな新規事業アイデアの芽が生まれるとも考えています。
現職で関わっている社内新規事業創出のメンタリングや、bridgeのプロジェクトデザイナーとしてのメンタリングに限らず、今後も新たなゼロイチ(0→1)に私自身が挑戦し、その取り組みを発信し続けることで、新規事業開発のネットワークを広げられたらと思っています。私自身もまだまだチャレンジの真っ只中にいるんです。
▼bridgeのニュースレターでは最新記事、イベント情報、ケーススタディを毎月1回お知らせ致します。
メルマガの登録はこちら