TOPICS
株式会社bridgeを創業してから5期目を迎えました。これまで、bridgeの創業の背景やこれから向かう未来について、詳細にお伝えする機会を持てていなかったように思います。2021年、bridgeは新たなメンバーも加わり、ますます新規事業や組織変革の伴走者としてのニーズを感じています。 そこで、このタイミングで代表・大長伸行に創業の背景やbirdgeの強みについて改めてインタビューしましたので、bridgeはどんな会社なのか、この記事を通して少しでも感じていただけると嬉しいです。 大長伸行 代表取締役・プロジェクトデザイナー
2009年よりデザインファームのコンサルタントとしてデザイン思考を活用した商品・サービス開発、イノベーション人材育成プロジェクトをリード。2017年1月株式会社bridgeを創業。多様な業種、組織の200を超える新規事業・人材開発プロジェクトを横断し得た数々の失敗経験を形式知化し、企業内新規事業の創出とイノベーション組織づくりを支援する。特技は、後先考えずに安請け合いすること。▼facebook ▼Twitter ▼note
大きく2つあります。
一つは、2009年からデザインシンキングを中心としたコンサルティング会社で企業の新規事業やイノベーションフレームワークの研修や人材育成を担当していました。やりがい、面白さを感じる一方で、2014年ころから、予定通りの進行で、手戻りを回避して、期日通りに完了して売り上げを立てて…といった納品をゴールにした請負業的な自分のスタンスに「これでいいのだろうか」という感情が芽生え始めました。
その中で、僕の中での転換点がヤマハさんとの取り組みでした。ヤマハといえば、歴史ある楽器を作る会社ですが、誰でも簡単にパソコンで音楽が作れるような時代になって、音楽の楽しみ方がミュージシャンや楽器が弾ける人以外に多様化していたんです。
そこで、ヤマハがこれからその新しいニーズと、どのように向き合っていくかを考えた際に「1000人の顧客に会いに行こう」というプロジェクトが立ち上がりました。 これまでのように、僕たちがリサーチ、分析を代行する仕事の進め方ではなくて、ヤマハの新規事業開発のメンバーが方法論を学びながら各家庭に伺って、どんなふうに音楽を楽しんでいるのか、ヤマハの社員自らがフィールドワークし、仮説検証していく活動を2年間かけて実施したんです。
すると、「これまでの仕事とは全く違うな」という感覚があって。
つまり、クライアント自身がプロジェクトを先導し、当事者意識や課題に対する所有感、やりがいを育みながら、自走していくスタイルが良いのでは?と僕の中で仮説が出てきました。これまでは代行することでその機会を奪ってしまっていたのではないのか、と。
もう一つは、息子(現在小学5年生)の存在ですね。僕の時代は、優秀な大学に入って有名な企業に入るのが社会的に王道のモデルでしたけど、今はもうそのような時代ではないですよね。息子には「やりたいことをやって、それを仕事にして生きていこうな」みたいな話をし続けているうちに、「あれ、自分はどうなの?」と自分自身に返ってきたんですよね。 その二つの思いが交錯した2016年の夏に、急に沸点がきて、「俺、会社やっぱり辞めます」と気づいたら上司に伝えていました。
ちょうどその頃、会社では来年度の事業計画を立てている最中だったのですが、「自分は来年もこの会社で同じことをしていくのだろうか?人生をかけてやりたいことは何か?」という感情が湧き上がり、マグマが噴出したんです。妻には、「会社を辞めてきた」と、その先のことをはっきりと決めていない中で事後報告しました(笑)。
これからは組織の外にいるデザイナー、クリエイター、エンジニアをはじめ、さまざまな専門家、エキスパートとコラボレーションしながら、プロジェクトを進めていく流れになる予感がありました。 その時に、僕たちが新規事業開発の伴走を求めているクライアント企業と専門家たちを橋渡してプロジェクトを作る役割を担っていけたら、という思いがあり、「bridge(ブリッジ)」にしました。5期目に入り、本当に社名の通りの役割になってきたな、という実感があります。
bridgeのメンバーは全員が自身の事業、プロジェクトを持ちながら、bridgeに関わっています。メンバー自らリスクを取って起業したり、新規事業の立ち上げに挑戦した経験を持っており、そこで得た生きた実践知をクライアントとのプロジェクトに供給できることが最大の特徴であり、強みだと思います。
新規事業開発の方法論やフレームワークは世の中に溢れていますが、それを自身がリスクをとって実践してどう感じたのか。うまく行ったこともうまくいかなかったことも、1人1人がリアルな体験値として語れる点はお客様からも評価いただくことが多く、方法論一辺倒のコンサル会社とは全く違うと思っています。
また、多種多様なバックグラウンドがあるからこそ、メンバー1人1人の解釈や目線も違うので、結果的にユニークなチームとして良い化学反応が生まれています。
2019年からスタートしたミズノさんとのプロジェクトですね。2022年にスポーツ関連用品の開発技術やノウハウを活用した新しい研究開発拠点の設立を計画していたのですが、その拠点がミズノの中でどのような役割を担っていくのか、肝心の未来像がまだ出来ていなかった。 そこで、bridgeがロードマップ作りの支援をすることになりました。
スタート時点では、研究開発拠点の設立に関わる各部署8人のリーダーの視点や考えがバラバラになっていたところ、合宿形式で「どのようにすればイノベーションが生まれる組織を作れるだろうか」をとことん議論しました。
その時に、最終的に16個のアジェンダにまとめて、それぞれの役割まで落とし込んでいったんです。 研究開発拠点が完成する2022年までの3年間のロードマップを作り、今、タスクフォースを作って、そのアジェンダを進めている最中です。 その時に感じたのが、bridgeが担ったプロジェクト全体のファシリテーターの存在の可能性です。
僕たちは、社内の人間関係や1人1人の立場、組織の事情を知らないからこそ、本質的な課題に集中しますし、様々な課題を組織を横断しながらファシリテーションしていきます。 正解は出せなくても、視点を提供したり、問いを作っていきながら、過去の延長線にない取り組みに挑戦するイノベーションチームに変化させていく。これがbridgeの貢献領域なんだと、このプロジェクトで確信しました。今、このスキルを[プロジェクトデザイン]として体系化にも取り組んでいます。
この1年間で新規事業やイノベーションを生むための組織を作りたい、と言った相談をたくさんの企業からいただくようになり、これは大きな変化だと感じています。 今までは、アイデアを出すための研修や社内提案制度の運営サポートなど、始めと終わりが分かりやすい仕事が多かったんです。それが長期のスパンでイノベーション組織に変化させていくためのプロジェクトの支援依頼をいただくようになりました。
また、bridgeとしては大企業の組織変革の伴走・支援により力を入れていきたい一方で、新たにスタートしたbridge東海(拠点:静岡県浜松市)は全く違うアプローチを考えています。
新しいことに挑戦したいチームや個人、学生などスモールスタートを支援するような取り組みもやっていきたいです。 そして最終的にはbridgeをスタートアップとか新規事業作りのスタジオみたいな場にしていきたいですね。
企業の支援もするし個人の支援もするし、自分たちがbridgeの活動の中で出てきたアイデアを事業として立ち上げることもやっていくようなイメージです。 bridgeの中に新規事業のノウハウやナレッジ、経験値がどんどん溜まっていく中で、実践者のネットワークコミュニティがそこにあって、何か新しいことを始めたい時にbridgeにくれば自然と応援者が集まって支援者も出てくる。
新しいことに挑戦する人とチームのための発射装置。そういう存在になりたいと思っています。
Biz/zineにて連載中[bridge流の新事業創造]
▼事例記事はこちら「三井物産:患者と看護師の対話サービス「Tomopiia」が描く医療の未来」