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本インタビュー企画では、bridgeのメンバー、パートナーが持つ専門性やルーツに迫っていくとともに、現在進行中のプロジェクトや未来のビジョンについて紹介していきます。第1回は、bridgeパートナーでUXデザイナー園田 励(そのだ れい)さんです。園田さんは、これまでプロダクトマネージャー、UXデザイナーとして様々なデジタルサービスを立ち上げられ、昨年はクリエイティブギルドPRISMも創業されました。生粋の0→1職人である園田さんの今とこれからについて、迫ります。
– まずは現在のお仕事について、聞かせてください。
PRISMというギルド型の会社を立ち上げて、スタートアップや事業の立ち上げ支援をサービスデザインやUX,UIデザイン,ファイナンスの視点から行っています。
CDO経験のあるUI,UXデザイナーや自社サービスを実際に作っているビジネスデザイナー,元上場企業所属の公認会計士,数億規模の予算を最適に回せるデジタルマーケッターなどが所属しており、事業を形にするという面においてクリエイティブを中心に多方面からサポートできる体制を構築しています。
– 園田さんは過去、グルーポンや恋愛マッチングサービスのwithの立ち上げを手掛けていますね。
経歴はテレビ番組のADに始まり、エディトリアルデザイナー、グラフィックデザイナー、UIUXデザイナー,PM(ビジネスサイド)と職種を変えてきました(笑) 期間はかぶりますが、デザインは初めて10年ビジネス領域は6年くらいになります。前職では恋愛マッチングサービスのwithをPM兼UXデザイナーとして創業から黒字化まで携わりました。事業として成功させたこととカップルを沢山生み出し社会貢献できたことに誇りを持っています。現在はマッチングサービスを作った経験を元に転職のマッチングサービスを立ち上げも行っています。
– 会社設立に至った経緯は?
PRISMを立ち上げようと思った理由は、コンサルを経験する中で、思いがある人に対してその思いを実現していくことが得意だと分かったからです。色々指示されるよりも、「こういうのを作りたいんだけど」と言われた時に、モデルから考えて作っていくのが多分好きなので、自分で始めようかなっていうのがあったかな。 また、現状世の中の課題として、ビジネスサイドの人ってITのプロダクトを作ったことがないので、そのつなぎというか、やりたいことを言語化して開発に落とし込んでいく、言語化する役割がないっていうのがあると感じていて、噛み砕き整理する人として入れば役に立てるんじゃないかと思いました。
ファイナンスやマーケティングの人を入れている理由としては、立ち上げ後に開発でマーケティングの数字、 要はプロダクトの数字と、実際に打つ数字を絡めて考えるために、データの集計基盤を考える工程が途中で挟まったりするんですね。その分野の知見がないと後々データが取れないことになっていくので、事業を立ち上げるところからサービスが成長するまでを最初のうちから算段して、勝ちに導いていくことを、僕ができればいいかなと思っています。
– プロデューサーとUXデザイナー両方のスキルは、仕事にどう影響していますか?
UX,UIなどプロダクトデザインをやっていて思うのは、体験の質はイコール価格であり、質を上げてやっと価格を整えることができるということです。つまり、お金を儲ける前提で価値を作っていくよりも、いいもの ができたからお金儲けよう、という発想なので結構泥臭いことでもできちゃって。 例えば、プロジェクトの改善はかなり泥臭いもので、分析して数字を出して、その数字を根拠にUI改善を地道に繰り返すことが当たり前だと思うし、それができてやっと儲けていいかな?っていう思想なのでそれが一番の強みなのかな。
– なるほど。そんなビジネスとデザインの両方を知る園田さんならではの、事業の立ち上げで大切にしていることはありますか?
誰もが魅力的だと思うビジョンを提示して、それに沿ったコンセプトやコアバリューを創り長期目線でブレない軸を作っておくことです。あくまでそのコアバリューからはみ出さない程度に、効果を狙ったクリエイティブを制作するのが大切だと思っています。短期的な効果だけ狙うのではなく、苦しいかもしれないけれどしっかり長期的に本質的な価値を作り上げていくことが重要です。そのために、ビジョンの可視化がむちゃくちゃ必要だと思っています。
– 可視化って具体的にはどのような意味ですか?
例えば、新規立ち上げ時って経営者や立ち上げたい人の頭の中ってみんな分からないと思うんですよね。そこを言葉に起こすことはあっても、ビジュアルに起こすってことあんまりないじゃないですか。通常、経営者はコンセプトや方針をビジュアルに展開するってところはあまりしないのでそこをサポートして、その経営者が見ているさらに先、もっとこういう風なら面白いじゃないかっていうところまで引き出した上でビジョンを可視化していくことを大切にしています。
– 経営者が考える未来の姿を、口だけじゃなくて、視覚的に作って見せるのですね。
そうですね。普通デザインはユーザーに見せるものっていう認識が強いと思いますが、そうではなくてチームに見せるものもユーザーに作るものと同じぐらいクオリティーのものを作ってあげるとチームの意識が統一され、こんないいものを俺ら今から作っていくんだって盛り上がります。
可視化ができると、そういう支援ができるんです。
– 様々な立ち上げに関わる中で可視化がやっぱり必要だなと感じる体験があったんですか?
ありました。やはりビジョンが明確じゃないもの、 言葉でも認識に揺れがあると思うんです。一つの言葉にも色んな言葉を内包してると思うので、この内包してる言葉っていうのは人それぞれ違うから、この一つの言葉ってどういう意思なのか分からなくなっちゃうので、それならビジョンをグラフィック化して思考を統一してしまおう、と。ビジョンの認識が統一されていない状態だと同じ方向に向いていかない。長期で考えると、歩いていたらみんな色々な方向に向かっているみたいな状態になってしまうと思うので。
立ち上げ時に方向を一致させるための方法として、KPIから落とし込んで、個人に役割を持たせ、数値を達成するやり方もあると思うんですけど、優秀な人が集まった時にそれをやると、管理されていると感じる時点でモチベーションがどんどん下がっていったりするんです。そうじゃなくて、ビジョンだけ定めてこっちに向かって暴れてくれって言った方が絶対いいものができると実感しています。
– 現在bridgeとスプリントのプロジェクトが一つ始まりましたが、期待していることや実現したいと思ってること、感じている課題意識などはありますか?
僕は、人の頭の中に創造メモリがあるとしたら、すぐ限界になっちゃうと思うんです。処理できなくなるから、一旦可視化を進めてアウトプットして…と、上乗せするように議論することで価値を追加され、思考をもっと深くしていくことができます。また、複数人の思考を統一することもできます。このような機能性から、スプリントを早い段階からやることで、事業の実現に向けてのスピードがどんどん上げていけると期待してます。
– 提案だけで終わってしまうことが新規事業提案公募では結構起こりうると思いますが、やはり可視化する作業を集中的に行なうことで継続に繋がる支援ができるところも期待ですか?
そうですね。プロジェクトが途中で頓挫してしまうケースも見ますが、本当にもったいないなぁと感じます。そうならないために、”いかに実現していくか”にフォーカスしてプロジェクトを前に進めて行きたいと思います。
bridgeがアイデア創出や事業構想を支援できたとき、自分たちのミッションはやはり実現させることだと思います。その実現の手法としてデザイン、もしくはスタートアップや小規模の会社では、チームビルディングや資本政策から並走し、メンバーがコミットしやすいチームにするなど、すべての面からサポートしていきます。
– 最後に、PRISMの展望、やっていきたいことを教えてください。
PRISMは価値創造のためのお手伝い、特に今後はプロトタイピング検証の分野の深堀りを進めていこうと考えています。PRISMに集まったメンバーには 、例えば CDO、CXOの経験がある UX デザイナー や、アクセラレーションプログラムを作ったメンバー、前職で上場の支援の経験のある公認会計士など、色々なアドバイスができるメンバーが集まっています。今後も、多方面から少数精鋭のメンバーが、一つひとつのサービスに思いを持って”実現させる“サポートをしていきたいです。
株式会社PRISM https://prism-ltd.jp/