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組織変革をリードするプロジェクトデザイナーという存在

プロジェクトデザインとは?

「プロジェクトデザイン」という概念をご存知でしょうか?

「プロジェクトマネジメント(PM)」という概念はよく知られていますが、プロジェクトマネジメントはあくまでマネジメント(管理)が前提であり、計画に基づいて進捗管理をすることです。ツールやサービスも豊富です。しかし、計画通りに進んでいるときには問題ありませんが、不確実な事象が発生したときには、そのシステムが有効に機能しないことが多くあります。

一方で「プロジェクトデザイン」とは、日々変化する状況への柔軟な対応や、メンバーの多様性を生かし、顧客も含めてプロジェクトに関わる人々の調和を図ることです。不確実性の中でもプロジェクトを成功に導く、進捗管理を超えた高次元の概念です。

つまり、プロジェクトデザインとは、次世代の事業に不可欠なリーダーシップと言い換えられるかもしれません。多くの企業で既存事業が衰退し、新たな事業の創出が急務となっている昨今、プロジェクトデザインを的確に担える「プロジェクトデザイナー」の存在が、あらゆる業界で重要視されています。

プロジェクトデザインと「デザイン経営」

これからの企業経営に必要な「デザイン」活動

プロジェクトデザインについての考察を深める前に、企業経営における「デザイン」はどのように定義されるのでしょうか?2018年5月に経済産業省が提唱した「デザイン経営宣言」では、『デザイン経営とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活⽤する経営である』とした上で、次のように提唱されています。

  • デザインとは企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を 表現する営みである。
  • 顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、⼀貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代 替できないと顧客が思うブランド価値が⽣まれる
  • 供給側の思い込 みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。
  • 誰のために何をしたいのかという原点に⽴ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想 できる。

出典:「デザイン経営」宣⾔ – 経済産業省・特許庁 産業競争⼒とデザインを考える研究会

つまり、企業においては、自社だけでなく組織にそれに関わる個人の存在意義に改めて向き合い、自社が世の中に対してどのような価値を提供していくべきなのか?を問い直す活動なのです。また、哲学的領域にまで思考を深め、問いを追求していく過程を通して、「本質的な価値」を定義し、世の中の未解決の課題の解決に挑んでいく活動そのものを「デザイン経営」と捉えることができます。

プロジェクトデザイナーの3つの役割

理想とする組織や社会の姿を実現するために、従来のビジネススキルを超えて、広義なデザイン能力を持ってプロジェクトを先導する人材—プロジェクトデザイナーが求められています。プロジェクトデザイナーの役割は大きく、以下のように定義できます。順にみていきましょう。

  1. 1.プロジェクトの起点となる「問い」の設定と、プロジェクト全体のデザイン
  2. 2.チームの気づきや共感、創造性を高めるための仕掛けとファシリテーション
  3. 3.新たなチャレンジを鼓舞し、アイデア実現のロードマップを描く

1.プロジェクトの起点となる「問い」の設定と、プロジェクト全体のデザイン

『正しい答えを見つけることではなく、正しい質問を探すことこそが、重要かつ至難の問題だ。誤った質問に対する正しい答えほど、無駄なものはない』。現代経営学の発明者であるピーター・ドラッカーが、著書『現代の経営』の中で綴った格言です。

半年先の状況すら見通すことが難しい不確実な時代において、より本質的な問いを立て、追求していくことは何よりも重要です。正しい問いを定義することこそが、プロジェクトデザインの真髄ともいえるでしょう。正しい問いを立てるためには、より広い視野と好奇心を持ち、物事を深く洞察する能力が不可欠です。これらは、元々素養として備わっている人もいますが、環境を変えたりトレーニングすることで、醸成することが可能です。

2.チームの気づきや共感、創造性を高めるための仕掛けとファシリテーション

一つの企業、部門での経験が長くなるにつれて、人は専門性が高まる一方で、ある種の固定概念が形成され視野が狭くなっていきます。新たな課題に立ち向かう上で、チームメンバーや外部の人々の多様性を上手く活用し、相互のクリエイティビティやワクワク感を導き出していくことが、非常に重要です。プロジェクトデザイナーには、定義された問いを強いメッセージとして共有し、多様なアイデアが飛び交う環境を促していく、舵取りが求められるのです。

昨今の「イノベーション」や「デザイン」というキーワードを使って、企業ではさまざまな取り組みが試行錯誤されています。しかし多くの企業で、イベントを繰り返すうちに取り組みが形骸化し、担当者が疲弊し、社員の士気がみるみるうちに低下してしまうという現象が起こっています。それを避けるためには、次のことを意図的に設計する必要があります。

  • 意義のある問いとコンセプト、ストーリーの共有
  • メンバーの所有感やクリエイティビティを引き出すプロセスやフレームワーク
  • 多様性のあるメンバーによるワクワクする仕掛け

3.新たなチャレンジを鼓舞し、アイデア実現のロードマップを描く

このフェーズは、プロジェクトの活動をコンセプトレベルの問いから、より具体的な成果に結びつけていく段階です。描いた計画を実行に移し、進めていく上では、実にさまざまな壁に直面します。プロジェクトに直接的・間接的に関わる各関係者のそれぞれの認識や利害の違い、メンバーの士気の低下、プロジェクトリーダーの孤立など、次々に問題が起こります。

プロジェクトデザイナーは、プロジェクトを進めていく上で陥るトラブルをあらかじめ予測した上で、以下の役割を担います。

  • 挑戦的でありながら、確実に成果を感じられるプロジェクト計画づくり
  • プロジェクトに関わる各関係者との調和をもった、円滑な人間関係の維持
  • メンバーを鼓舞し、起動修正しながらゴールに向かわせるプロジェクトマネジメント

社内と社外、組織と組織をつなぐ、ハブとしてのプロジェクトデザイナー

昨今、大企業とスタートアップとのオープンイノベーションが活発です。イノベーションとは、特定のグループや企業、政府なりが単独で実行するものではなく、よりコラボレーション的・ソーシャル的な性格が強くなり、多くの努力や知見が積み重なって実現するものになってきました。

また、「社内」や「社外」といった堺目がさらに曖昧になりつつあります。異なる専門性や技能、世界観、意見を持つ個人とプロジェクト単位で協働し、アイデアを発展させていくケースが増えています。その時、各ステークホルダーの触媒となり、またマインドセッターとして、チームビルディングを担うのもプロジェクトデザイナーの重要な役割です。

私たちbridgeでは、当社のプロジェクトデザイナーがプロジェクトのグランドデザイン(設計)、そしてファシリテーターとしてプロジェクト推進をお手伝いします。多様なバックグラウンドを持ち合わせるプロジェクトメンバーの中に入り、共通のゴールを目指してプロジェクト全体をファシリテートします。御社の社内で活躍できる優秀なプロジェクトデザイナーを育成し、専門性や知見を提供するだけでなく、課題解決に適したプロセスをデザインし、人と組織をつなぎながら、プロジェクトが最短でゴールに向かう人材の育成支援に力を入れています。

bridgeでは、プロジェクト進め方をデザインするスポットコンサルティングを提供しています。

「前例のないプロジェクトでうまく設計できない。」
「新規事業を担っているが、どのように進めたら良いかわからない。」
「そもそもプロジェクトを的確に推進できる人材がいない。」

といった課題をお抱えであれば、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

 

参考事例

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