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セミナーレポート「新規事業へチャレンジし続けるエンジニア集団のつくり方」

株式会社bridge 新規事業 セミナー画像

2018年12月17日 bridgeが企画運営する中小企業コミュニティベンチャーズアカデミーによるセミナー、「新規事業へチャレンジし続けるエンジニア集団のつくり方」を開催しました。おこしいただいた皆様ありがとうございました。

以下、セミナーレポートです。

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明けましておめでとうございます。株式会社bridgeの眞穂です。

昨年、12月17日に我々bridgeが運営する”VENTURES Academy”の第2回目のイベント「新規事業へチャレンジし続けるエンジニア集団のつくり方」を開催致しました。

今回のイベントでは我々bridgeから代表の大長が司会進行を行い、そしてCo-Creations株式会社から代表取締役の茂木健太さんが登壇致しました。

 

イベント内容は

・新規事業へのチャレンジが生まれにくい背景

・チャレンジし続ける組織作りのコツ

・自発的なチャレンジを起こす体験ワーク

 

組織開発&人材開発に日々携わっているスペシャリストから見た、現在の新規事業開発の背景とはどのようなものなのか?また、そこに飛び込む人間を育てる方法にはどのようなメソッドがあるのか?などなど。何かしらの形でみなさまの第一歩につながるような情報・知識が盛り込まれています。このレポートでは、主に本イベントでの茂木さんのプレゼンの内容を、運営側の視点からまとめていきます。

 

ーはじめにー

今回登壇していただいた茂木さんのプロフィールの紹介です。

 

茂木さんのルーツはエンジニアから始まります。ものづくりや企画ができると思いシステムエンジニアとして入社したものの、実際の業務はそのほとんどが深夜の電話対応。茂木さんは自分の価値観と現状の業務を比べ、それらがマッチしないことに違和感を覚えるようになりました。その後、人に勧められコンサルティングの道を選び、今では茂木さんの持つ価値観の中の最高価値である”Co-Creation”を仕事とし、自らの価値観を仕事としています。この茂木さんのルーツ、また”価値観”というワードは、話の後半でキーワードとなる重要なものです。

—新規事業へのチャレンジが生まれにくい背景—

「今日の飯か。未来の飯か。」

茂木さんは既存事業と新規事業の関係をそのように比喩しました。データから予測、またその進行方法が既知であり、エンジニアの得意分野の既存事業。それらは決まったプロセスを継続するだけに対し、新規事業はその逆。新規事業とは未知・不確実でありプロセスが決まっていない、言い換えればアートとも、博打とも言えます。

未知・不確実な分野にコストを投資するチャレンジ精神というのは、中小企業こそ薄まってしまいがちです。日々、既存事業を粛々と行ってしまうと、どうしても組織としてそれらを維持しようとする力が働きます。茂木さんはこの力を「現状維持の力」と例え、この力こそが新規事業へのチャレンジが生まれにくい背景の一つであると述べました。”未来の飯”を掴むためには、現状維持の力を超えて「新しいものを生み出す力」が必要です。では、新規事業を加速させる為に、現状維持の力の抑制を打破するためのプロセスを組織・エンジニア集団にインストールするにはどうすればいいのでしょうか?

 

マックスウェルの1万時間の法則をご存知でしょうか?

「特定の分野で世界的な一流になりたいのであれば、それには1万時間の練習や実践が必要だ。」by マックスウェル

1万時間というのは意外に長いもので、毎日不休で8時間働き続けたとして、1万時間を満たすのには約3年半と少しかかります。逆に言えばその時間さえ満たしてしまえば一流の人間になれるという指標としてこの法則が有名です。

茂木さんは「新規事業開発も専門業務であると捉える」と提案しました。その他の業務と同様、新規事業開発も時間をかけなければ良いソリューションは得られないし、その事業を行う人間も一流とは呼べない。一見あたりまえのような話ですが、未知・不確実であるが故に避けて通りたい分野を、あえて専門業務だと落とし込んで考えそれを捉えてしまうというのは、私にはかなり斬新な見方だと感じました。

では、新しいものを生み出す力を育てるためには”時間をかけるしかない”と、結論を言い切ってしまえばそれまでですが、幸いその淡白な地点には着地しません。時間を1万時間かけることなくとも、良いソリューションを産み出すエンジニア集団を育てるコツについて、話は続きます。

 

チャレンジし続ける組織作りのコツ

 

茂木さんの経験上、「新規事業をやらなければいけないことは皆わかっているけれど、目先の仕事が忙しいが故に目をそらしてしまう状態」が、新規事業へのチャレンジが生まれない状態の原因であるとのことです。目先の仕事が忙しいフリをすることで、気の乗らない新規事業をやり過ごそうとするマインドが働いてしまっているのです。この状態を仮に1万時間続けたとしても、新規事業開発が好転することは難しいかもしれません。

ではこの状態はなぜ起きてしまうのか。それは”価値観”がキッカケと言えます。価値観と目先の仕事、また価値観と新規事業が結びつかないことによって、そこにやる気を出せず避けてしまう。エンジニア時代の茂木さんと同様に、業務に違和感を抱いてしまうのです。

 

しかしこれは言い換えれば、価値観と目先の仕事&価値観と新規事業が結びつくことでやる気を促すことができ、新規事業開発の加速につながるということです。

事業創造は長く厳しい道のりであり、その上環境の変化も著しいものです。それを乗り越えるためには価値観の理解、またその活用によるやる気が必要となります。総括すると、新規事業担当者の人に、新規事業をやるということがその人にとってメリットになり、その人の価値観を満たすということを知ってもらうことが、チャレンジし続ける人間を作るコツであると言えます。

いやいや、それができりゃ苦労しない、と言われてしまいそうですが、見方さえ変えてしまえば案外苦労しなくて済むかもしれないということを、体験ワークを通じて紹介致します。

 

ー自発的なチャレンジを起こす体験ワークー

以下で述べるワークは最低二人以上によるものです。本イベントでは二人一組でのワークを実施いたしましたので、その工程で説明いたします。自らの価値観が何か、案外自分ではわかっていないものだったりします。それを探すことができる面白いワークですので、興味のある方は是非お仲間やご友人お試しください。

はじめに、自分の中の価値観というのを知る必要があります。何が好きで、何が嫌いかを考えるという単純な作業です。茂木さんを例にして言うと、茂木さんの最高価値とは”人と創発する=Co-Creation”になります。また人には複数の価値観が存在し、それらはランキングのように順列を成しています。それらを、自らできる限り多く書き出していきます。

ただしここで2つ制約があります。1つは、ここでいう価値観とは「何かの行動の意図」であることで、結果に左右されずにその行動は何をしているつもりなのかを書き出すということ。簡単に言えば、上手くいこうがいくまいが関係なく、やり続けていることを書きだすということです。

わかりやすい例を挙げると、とあるAさんは「モテる」という価値観を持っています。彼は常にモテようとしているのですが、結果だけ言うと彼はモテません。しかし彼にとってそれは重要ではなく、モテようがモテまいが彼は人の気を惹き続けるのです。人に気に入られたいという気持ちがすべての原動力だからです。このように、上手くいこうがいくまいが関係のない原動力が、ここでいう価値観です。

2つ目は、価値観は「have to」ではなく「want to」であることです。誰しも何かしらの価値観を原動力として動いています。「have to(〜をしなければいけない)」による価値観の原動力というのは、他人に押し付けられた価値観であり、本人の価値観ではありません。本人の価値観は「want to(〜をやりたい)」からでしか生まれません。

その2点に注意して、自分の価値観を書き出していきます。

価値観の書き出しがある程度済んだ後、上の図のワークシートのように四象限にそれらを書き写していきます。好きなのか、嫌いなのか。仕事なのか、生活・人間関係なのか。なるべく四象限すべてに何かしらの価値観が書いてある状態にします。

一緒に作業されている方のワークシートが埋まり次第、お互いに自分の価値観について紹介します。その際、相手の価値観の紹介から自分が感じた相手の価値観の中のキーワードを3つ書き出します。上の図は茂木さんの価値観を書き出した例であり、そこから見えるキーワードはCo-Creation・他社進化・自己進化の3つであることがわかります。

こうすることで、自分では知らない自分の価値観の共通点や、相手から見た自分の印象はどう見えているのかを知ることができます。またここまでのワークはそのままチームビルディングに応用することもできます。チーム内で好き嫌いをシェアすることでお互いの好きな仕事・嫌いな仕事をトレードすることができてしまえるのです。シンプルなワークですが、活用ください。

相手の3つ価値観がわかりましたら、【相手の価値観】×【新規事業へのチャレンジ】によって生まれるメリットをとにかく沢山書き出します。本イベントではメリットは10個ほど書き出しましたが、本来は25個以上が理想です。最後にそれらメリットを駆使して、相手に新規事業へのチャレンジをするよう説得します。相手がやる気になればワークは成功、やる気にならなければワークは失敗です。

一見これをすることの意味が理解しづらいかもしれませんが、大いにあります。普段自分の思考というのは、自分の価値観と合わないものは受け入れないものです。それは上司も、部下も、誰でも同じ。しかしそれは食わず嫌いなだけであって、実際は「価値観が合わない=メリットがない」という式は成り立たないのです。価値観とメリットを繋げて仕舞えば、その人の新規事業へのチャレンジ、あるいは嫌いな仕事への認知を変えることができるということです。そのためには自分の価値観を知り、人の価値観を知る必要があり、今回紹介したワークはそれらを行うのに効果的です。

もしこのワークを成功させることができたのであれば、人をやる気にさせる、つまり自発的なチャレンジを起こすことの成功を意味します。新規事業へのチャレンジし続けるための人・組織を作るためのコツを、少しでも感じていただけたのではないでしょうか。

 

ーセミナーを通してー

いかがだったでしょうか?新規事業に向けてチャレンジし続けると言うのは、気合いや強制では到底無理な話。じっくりと時間をかけ、自分の価値観と向き合い、チームの仲間の価値観を理解し、適切なマインドセットを持つことが新規事業開発においていかに重要であるか、本イベントから伝わったかと思います。本イベントが、皆様の何かしらの第一歩の手助けになれば幸いです。

VENTURES Academyでは『事業を創る人をつくる』を目標とし、新規事業のチームビルディングの支援、適切なマインドセットを持った上で臨むフレームワークなどを提供し、中小企業の皆様と共創(Co-Creation)していきたく思います。

VENTURES Academyの今後の活動にご期待ください。

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