CASE STUDY

組織変革

マクセルはブランド価値の向上のために、”組織風土改革”に挑む

マクセルはブランド価値の向上のために、”組織風土改革”に挑む

課題

若手社員のモチベーション/エンゲージメントの低下、組織風土の改善

bridgeがしたこと

若手社員を中心とした組織風土改革プロジェクトの企画運営支援

成果

プロジェクトにて立案した7項目の改善策が社長・役員に承認され、実行フェーズに移行。一連のプロセスを通して、ボトムアップとトップダウンの良質なコミュニケーションが生まれた

電池や磁気テープのブランドとして知られるマクセル。実は、光学部品や理容・美容、健康、医療など、幅広い分野で、人々の生活に欠かせない製品を数多く生み出しています。皆さんも、気が付いていないだけで、実は結構お世話になっているかもしれません。

この度、同社では、組織風土改革プロジェクトであるMTP (Maxell Transformation Project) を発足させました。その目的は、若手社員の活躍機会の創出とブランド価値の向上にあります。というのも、従業員への細かな労働意識調査の結果、会社に対して若年層の不満が目立ったから。

bridgeでは、このMTPの全体の企画・運営をサポートさせていただきました。どの企業も人手不足が深刻な昨今、次世代を担う人材が希望を抱き、組織が発展する活力にするにはどうしたらいいか?不満があって、それが表に出てくるということは、組織として健全な証拠。これは、またとない組織改革のチャンスにするしかありません。

今回は、このプロジェクトを推進する、同社ブランド戦略統括本部長である小原 寛さんに、苦労や成果などのお話を伺いました。

マクセル株式会社 ブランド戦略統括本部長
小原 寛さん

組織内の風土改革にこそ、外部の叡智が必須

Q まず、ブランド戦略統括本部のミッションについてお聞かせください。

我々にとって最も重要な事業戦略の一つが、マクセルのブランド価値を高めることです。ブランド戦略統括本部は、3つの部隊で構成されています。ブランディングを推進する部隊、株主や投資家との対話を主とするIR(インベスターリレーション)、そしてステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを取る広報部隊です。これら3つの部隊全体の活動を通して事業戦略の促進を図るのが、我々のミッションです。

Q 今回のプロジェクトのテーマである「組織風土改革」ですが、その実行に至ったのは、どのような経緯でしょうか?

5年ほど前から、従業員サーベイを社内で実施しているのですが、その結果から若年層、特に20代の方々が会社に多くの不満を抱いていることを知りました。正直、これはちょっとショックな結果でした。

従業員の結びつきから士気を上げることで、アウトプットを促すような環境ができ、ひいてはリ・ブランディングの強化につながっていくのではないのか。私はそう考えていましたので、この現状はどうにかしなければいけないと感じました。サーベイを実施するだけではなく、彼らが抱く不満、裏返せば期待に対して、何か具体的に応えていかなければと思ったんです。

その考えがきっかけとなり、同じ意志を持つメンバーを集めました。今のマクセルが持っている課題や問題点をどのようにして解決していくのか、ボトムアップで話し合う少数のチームを作りました。
ただ、全社を相手に活動していく中では、知見やネットワークの面でも我々だけでは限界があるので、外部の力を借りなければいけないと思い、bridgeさんに協力をお願いしました。

実務ベースの進行と成果は、社内の大きな自信に

Q 社内公募から始まって、ワークショップを通して経営陣のプレゼン、という流れでしたが、実際にやってみていかがでしたか?

我々は、自社に対して非常にモヤモヤとした閉塞感はあったものの、根本的な課題は何なのか、具体的な解決策は何か、考えをまとめることが難しいと感じていました。bridgeさんからもフィードバックをいただいたんですが、そういった課題に対して、外部からの指摘や示唆を得て、自社に取り入れる思考がありませんでした。モヤモヤの原因は、考えがなかなか外に向かっていかなかったことだと気付きました。

若い人たちにとっても、外部からの知見や考え方を吸収していく機会が少なかったようです。そういった課題解決のために、さまざまな有識者との対話や、講話を受講させていただきました。やはり内から外に向かって開かれた中で、自分たちを見つめて考えられる機会は、彼らにとって非常に貴重な経験になったと思います。

社内公募などで集まった方は、事業部横断で選ばれた人たちでした。皆、ものすごく決断力があって、チームとして強くなれたのが良かったです。彼らからいくつかの提案が出て、役員がその場で『やろう!』と結論を出してくれた時点で、私は『プロジェクトとしてのファーストステージは上手くいった』と確信しました。

Q 今回のプロジェクトを実施してみて、どのような成果があったと感じますか?

私は、このプロジェクト全体のステップを3つで考えています。まず、1つ目は、このプロジェクトのスタートで、最も重要な意義がありました。2つ目は、いろいろな議題に対して出てきた具体的な提案を、役員の方が後押ししていくという段階でした。そして3つ目が、派生したプロジェクトをそれぞれ、今後どうやって実らせていくのかということです。3番目のステップの目標は、机上の空論で終わらせずに実務ベースで会社に導入されることで、我々は今その段階に差し掛かっています。

従業員サーベイでは、『会社は調査はするが、その結果や意見に対して、会社としてのアクションはありませんよね?』といった、厳しい意見もありました。そんな中で、こういったプロジェクトがスタートして、具体的な提案が生まれ、役員が承認して、それを導入していく段階にまでつながりつつあります。これは、プロジェクトを進めてきた我々にとっても、会社にとっても、非常に大きな意義がありました。

この提案が全て導入されるのか、100%で100点を取れるシステムになるのかは、今後の課題です。しかし、集まってくれたメンバーにとっては、自分たちの提案を会社に聞いてもらえた、会社としてのアクションにつながったという成果は、今後の彼らにとって大きな自信になると思います。

相乗効果は、プロセスの後からついてくる

Q 今後の展望について、お聞かせ願えますか?

今回のメンバーの提案に関しては、プロジェクトごとの相関関係を深く考慮することまでは、強制はしていません。

確かに、プロジェクト同士が構造的に配置され、それぞれがどういう関係にあるか、理屈付けて作ることも必要ではあります。しかし、例えばある企画が別の企画につながってaとbが相関を持つ関係は、副産物的に生まれることですよね。最初から『これをやることで付加価値を!シナジーを!相乗効果を!』という戦略を持つ必要性は、あまり感じていません。

それよりも、まずはアイデアがどんどん出てきて、その中から光るアイデアが残っていく方がいいと考えています。元気な社員から、たくさんの提案が出てくる。そして、それをやってみようと議論し合う文化ができていく。それこそが、当社にとっての組織風土改革だと考えています。

Q 当社へのご感想あればお聞かせください。

我々は、どちらに向かって進んで、何をやれば良いのか分からない状態でした。そんな中でbridgeさんには、大変精力的に動いてもらえました。壁打ち相手、水先案内人といいますか、ガイドとして、近くで寄り添って導いていただけたことに感謝しています。プロジェクトメンバーに対しても、上手くケアや指導していただいたので、とても良かったと感じています。

『会社全体を巻き込む』ことの重要性や、その効果をチームで実感できました。ありがとうございました。

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